お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


まるで、シュガーポットの中の白い砂糖みたいに、純粋無垢で考えが甘すぎる、そんな幼なじみに苛立ちは募るばかりで。




『だーいすきっ』


なんて勝手に言ってくれるけどさ、



その甘い笑顔も

声も

仕草も

紡ぐ言葉でさえも




俺は────────大嫌いなんだよ。





*
*




はっ、と目を開くと無機質な自分の部屋にいた。


なんだ、夢か……。


去年の夏祭りなんて、なんとタイムリーな。




夢の内容を思い出して、はぁ、とため息をついた。



夢でさえイライラするなんて、あいつは俺を苛立たせる天才かよ。

俺をこれだけイライラさせられるのなんて、あいつぐらいだ。




………もう、嫌いだとしか言えない。



あいつを見てるとイライラする。



まず鈍すぎて手に負えない。


臨海のときだってそうだ。
バーベキューのグループの男どもは、みんなあいつの水着姿を下心丸出しで見てたっつーのに、当の本人は何一つ気づいていない。


寄せられる興味にも、好意にも、まるで気づかないし。
どこに目ぇ付けてんの?って言ってやりたい。



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