お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
それから、危なっかしすぎる。
気にしたくなんかないのに、いちいち気になるし。
無防備すぎて、見てらんなくてパーカー貸してやったり。
涙目のくせに、決して残そうとはしないピーマンを食ってやったり。
そうやって結局いちいち気にかけてしまうのも面倒。
あいつは生粋の甘党で、俺は逆に甘いもんは食えねぇし、食べ物の好みだって正反対。
俺が発する冷たい言葉のひとつひとつに、素直に流す涙の甘さもムリ。
『大嫌い』と告げる度に、本気で悲しそうにする割には、『大好き』なんて、おまえの『好き』は本当じゃないくせに。
遠くから見ているだけで苛立つ。
だからといって、喋っていても苛立つ。
いつからこうなったかなんて、もう知らない。
だけど、気づけばあいつといるときは常にイライラしている自分がいた。
………こんなの、嫌いって言うより他にない。
そのことに気づいて、俺は、これから先も幼なじみとして一緒にいられる自信なんてなくなった。