お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
それに付け加えて、拒む理由がなかった、っていうのもある。
別に、嫌いじゃねぇし、好意を向けられるのは普通に嬉しいし。
なんて、利樹に言ったことがあって。
『光希は本当の恋をした方がいいよ』
そのときは、そう返された。
………俺自身はあまりピンと来なくて、曖昧に頷いただけだったけれど。
『私と、夏祭り、一緒に行ってくれないかなっ?』
俺はずるい。
確かに藤宮の気持ちに応えようと思うのに、頭の中では別のことを考えていた。
“これで、あいつに誘われても断る理由ができる” ──────なんて。
そんなことを思う俺は、どうしたって。
“花岡ひまり” が嫌いで仕方がないらしい。
再び睡魔に襲われ、まどろむ意識の中で、改めて自覚した。
やっぱりあいつは、
“甘すぎる”
それは、甘い物が嫌いな俺の、
最大級の敬遠の言葉─────