お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

●塩味のわたあめは、

〖ひまりside〗



「夏奈ちゃんっ!!ごめん、待った?」


電柱に寄りかかってケータイを触っていた夏奈ちゃんに慌てて声を掛けた。



「んーん、集合時刻ぴったり!」



ロック画面に表示された時刻を私に見せながら、にっこり微笑んだ夏奈ちゃん。


仮に集合時刻ピッタリだとしても、それなら夏奈ちゃんは何分前集合なの……?


待たせちゃったことには変わりない。




「ごめんね……」


「ほんとに私も今来たとこだって!……それよりさ、いいね、その浴衣」



夏奈ちゃんに言われて、改めて自分の格好を見下ろした。



夏休みも、もう終盤の8月24日。

そんな今日、私は夏奈ちゃんと夏祭りに来ている。




私が来ているのは、白地に桃色の花とリボンの柄が入った浴衣。

一目惚れして、即決買いしたもの。



そんなお気に入りの浴衣を褒められて、気分は上々。




「夏奈ちゃんは、すごい大人っぽい……」




黒地の浴衣がこんなに似合う人っているの?っていうくらいサマになっている夏奈ちゃん。


ビビットカラーのモダン柄も、いい感じに夏奈ちゃんのスタイルの良さを引き立てている。



< 119 / 387 >

この作品をシェア

pagetop