お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


打ち上げ花火は、20時から。

それは、昔からずっと変わらない。




「じゃあ、そろそろ買うもの買っとかなきゃね、」




もう一度、ケータイで時刻を確認した夏奈ちゃんがそう言う。



6時半に待ち合わせだったんだけど、プレゼント渡したり、なんやかんやしている間に、もうすぐ7時。



たしかに、そろそろ見て回らないと花火に間に合わないかも。




「じゃあ、私が案内するね!」



手を挙げながらそう言うと、



「じゃあ、任せた」



くすっと笑う夏奈ちゃんが頷いてくれて、私たちはやっと提灯が燈る方へ歩き始めた。




*




頭にはうさぎのお面、左手には念願のベビーカステラの紙袋、右手にはこれまた念願のチョコバナナ。



すっかりお祭りモード。




見て見て! このお面。

愛くるしい顔をした、白いうさぎさんのお面は夏奈ちゃんが買ってくれた。


すっごく可愛くてお気に入りになっちゃった。



それから夏奈ちゃんの頭上には、クマさんのお面が。
これは、私が買ったもの。



“ふたりでお互いに買いっこしよう” っていうことで、お互いのお面を選んだんだ。




クリクリのおめめのクマさんは、夏奈ちゃんっぽいなって思ったの。


だって、夏奈ちゃんって瞳がとっても大きくて可愛いから。






そんな夏奈ちゃんは私の隣で焼きそばを食している。


ソースのいい香りがするけれど、ピーマンが入ってるのを見つけちゃったからなぁ。



食べたいなぁとは思わない。



< 122 / 387 >

この作品をシェア

pagetop