お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


「ふ………ぅぇ………っ」



すき。


みっくんのことが、すきだよ。


ちゃんと認めた瞬間に、頭の中がそれだけで埋め尽くされた。





でも、それって……。




「……もう今更だよ……」




気づくのが遅すぎた。


今更みっくんに恋をしてるって気づいたって、もう手遅れ。




だって、みっくんには彼女がいて、
私は、みっくんに嫌われていて─────





「恋に今更なんてないよ」




沈んでいく気持ちを掬いあげたのは、夏奈ちゃんの凛とした声。




「人を想う気持ちに手遅れなんてない。そんなの今から頑張ればいいじゃない?かけっことは違って、一番乗りが必ずしも一番になれるわけじゃないんだから」



「……」




「それに、いつかこういう日が来るだろうなって思ってたよ」



「え?」




優しく目を細めた夏奈ちゃん。




「高校で最初に出会ったとき、ひまりが棚橋くんのこと好きなんじゃないかなって思った。
まぁ、ひまりは恋を知らなくて、それはハズレだったんだけど。

でも、いつか、いつか絶対棚橋くんを好きになるんだろうなって、私はずっと思ってたんだよ」




私は思わず息を呑んだ。




「だって───、ひまり、棚橋くんの話するとき、いっつも恋する乙女みたいな表情(カオ)するんだもん」



「えっ」




そんな顔、してたの?

……恥ずかしいよ。






夏奈ちゃんは言葉を続けた。


「私、ひまりのこと応援するよ」


「…!」



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