お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


夏奈ちゃんが、あまりにも真っ直ぐな笑顔を私に向けるから。



誰よりも背中を押してくれるから。




じわり、とまた涙がこみ上げてきて。

……一体、今日は何回泣けば気が済むんだろうね。





「ううぅっ、みっくんがっ……好きで好きで苦しいっ………!ふえぇ───んっ……ヒクッ……」







声を上げて泣きついた私の背中を、夏奈ちゃんがトントンとあやすように叩いてくれる。




「だいじょーぶ、ひまりなら大丈夫」








目を閉じて、そっとみっくんの姿を思い浮かべた。




あのとき、なんだかモヤモヤしたのも、香音ちゃんと一緒にいて欲しくないって思ったのも………私のヤキモチ、だったんだ。




腑に落ちて、それから、悲しくなった。





きっと今、みっくんは香音ちゃんの傍で笑っているんだろうなって、想像してしまったから。





ヒュルルル─────


ドォン





ポタリ、と涙が一粒アスファルトに溶けたのと同時に、花火が上がった。





「綺麗だね……」


「……うん」





散りゆく色とりどりの火花は綺麗だけど、

どうしようもなく、切ない。




< 139 / 387 >

この作品をシェア

pagetop