お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
みっくんとの高校生活にウキウキしながら入学式に向かったんだけど、神様は私にイジワルらしく、みっくんと私は見事にクラスが離れてしまったの。
それでもう、お先真っ暗になってしまった私は、振り分けられたクラスの教室でうつ伏せていたんだけど……。
しばらくして、トントン、と誰かが私の肩を叩いた。
『あの……そこ私の席』
『う、嘘!ごめんなさいっ!』
どうやら、1個席をずらして座っていたみたいで。
慌てて立ち上がって、その子に目線を向けた。
そこには、ショートカットの女の子。
……どこかで見たような気がする……でも、どこで?
『あっ』
……?
『……説明会の日に転んでた子?!』
…説明会の日に転んでた……たしかに転んだけど、それを見てたのって、みっくんと……
あーっ!
『あのときの、女の子ですか?!』
そう言われれば、そうだ。
あの日は、ポニーテールだったから気づかなかった。
髪の毛切ったのかぁ……ショートカットがすごく似合ってる。それに、スタイルもいい。
身長もみっくんまではいかないけど、私よりずっと高い!……うらやましいなぁ。
『ほんっとーに、ごめん!あのとき、先走っちゃって、もうナンパされてると思い込んじゃって!……あー、思い出すだけで恥ずかしい!』
バッと頭を下げられて。
『えと……か、顔あげてください…!全然、全然っ、気にしてませんし、そ、その……私が転んじゃってドジなのが悪いので……』
すると、その子がバッと顔を上げた。
『ほんと?……あ、あの男の子は?すごーく、怒ってたよね?』
『みっくんも、そんなに気にしてませんでしたよ?……あ、私に対しては、怒ってましたけど』
“おまえが転んだりするからだ” って耳にタコができるほど。
『ほんと?良かった〜……あ!私、早坂 夏奈!クラス一緒だし、出席番号も前後みたいだし、よろしくね!』
『あ……花岡 ひまりです!よろしくお願いします……っ』
慌てて、ぺこりとお辞儀する。