お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


私はコクコク、と大きく頷いた。



「光希のこと……、見てたんだ?」



確認するように言った浅野くんに、もう一度、今度は小さく頷く。




「花岡と光希ってなんなの?どういう繋がり?」




訳がわからない、と言ったように眉をひそめる浅野くん。


それもそうだよね。


だって、高校に入ってから、私とみっくんが接点があるように見えた機会なんてなかっただろうから。




「私とみっくんは、幼なじみなの」




言ってからあっと口を抑える。


“幼なじみであることを口外しない” っていう、みっくんとの約束………破っちゃった?



この短時間で、私は何度口を滑らせているんだろう。



「えっと、これ、誰にも言っちゃだめだよ!秘密ねっ?」



慌てて付け足す。

浅野くんがそういうことを言いふらす人じゃないっていうのはわかっているけど、一応、ね。

私はともかく、みっくんは周りには絶対知られたくないって言うから。






それより。




………幼なじみ、かぁ。

心の中で自嘲気味に笑った。



ほんとは、そんなひとことで片付けられるような関係じゃないのにね。



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