お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
良くも悪くも、幼なじみ。
今まではそれだけでも十分だった。
だけど、私はいつしか欲張りになっていて。
“幼なじみ” なんて、ただ生まれ育った場所が近かっただけの距離と時間に頼る関係だけじゃ、物足りなくなっちゃっていて。
私たちは、複雑だ。
みっくんは、私のことが顔も見たくないほど大嫌いで、
一方の私は、周りも見えなくなるほど恋焦がれているなんて。
複雑で、ちぐはぐで、いびつな関係。
「幼なじみ………ね」
独り言のように呟いたのは、浅野くんだった。
「だからか」
納得したように息をついた浅野くんに首を傾げた。
“だから” ってなんのこと?
「臨海のときから、不思議だった。
何の接点もないのに、なんで花岡と早坂が光希のことを知ってたんだろうって」
確かに光希は女子の間で話題かもしれないけれど、ふたりはそういう噂興味なさそうだし、と浅野くん。
私は黙ったまま頷いた。
「ふたりは、仲良いの?」
一瞬、浅野くんの言う “ふたり” が誰と誰を指しているのかがわからなくて戸惑った。
「花岡と、光希」
浅野くんが付け加えてくれて、意味を理解した私は咄嗟に口走ってしまった。
「まさか!」