お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


これは、マズい。

と直感的に思った。



それでも、みっくんは近づいてきて、


────カシャン



みっくんが触れて、フェンスが音を立てた。




フェンス越しに、向かい合わせ。





「俺のこと見てた?」



ほら、マズい。

ずっと見てたこと、バレちゃった……。




「なんでわかったの?」


「視線がうざったいんだよ。わかりやすい」




みっくんと、近い距離で目が合う。




「やめろよ」


「集中出来ねーんだよ」


「おまえが見てると」





みっくんの言葉は、

たしかに私を非難しているのに、




もう私、末期かもしれない。




みっくんと目が合っているだけで、

言葉を交わしているだけで、




─────熱くてなにも、考えられない。






「ねぇ、みっくんは何の競技に出るの?」



「は?なんでそんなこと……」





熱に浮かされるように発した唐突すぎる質問に、みっくんが怪訝な表情を見せる。



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