お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


100mとリレー………

どっちもかっこいいんだろうなぁ、なんて想像する。



「……おまえは」


「?」



「おまえは、なに出んの」




まさか、みっくんに聞き返されるなんて思わなかった。



「借り人競走と女子リレーだよ」


すんなりと答えた私に、


「は?リレー?おまえが?」



戸惑うみっくん。


と、同時に思い出してしまった。



そうだ、私、リレー出るんだった。

どうしよう、本当に失敗したら───


ありありと蘇ってくるさっきの練習の記憶。




「くじで当たっちゃったんだよ」


「さすがツイてねーな」




呆れたように笑われる。

だけど、私の気持ちは落ち込んでいく一方だ。




「えへへ、ほんと、ツイてないよねっ」




それを悟られないように、笑顔で明るい声を出す。


出した、のに。




< 168 / 387 >

この作品をシェア

pagetop