お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
「愛しの棚橋くんが見れないからってそんなに落ち込まないの〜」
「……っ!?///」
夏奈ちゃんの冷やかしに、ボッと顔が赤くなる。
「ちっ、違うもんっ!!……や、違くはないけど、夏奈ちゃんだって出るからっ!」
慌てて反論を試みるけれど、墓穴を掘っただけであまり効果はなかった。
100m走には、夏奈ちゃんとみっくんが出場する。
だから、絶対にトラックの間近くで見ようって思ってたのになぁ…。
「じゃ、私ほんとに競技始まっちゃうから行くね」
夏奈ちゃんが切り出して、
「が、頑張ってね!」
私は勢いよくエールを。
「ありがと。ひまりも頑張ってね!借り人競走は、ばっちり見とくから!」
ず、ずるい!
私は見れないのに、夏奈ちゃんは私の競技を見れるなんて!
そんなことを考えている間に、夏奈ちゃんは、じゃあね、と言って歩き始めていた。
そうだ、私も召集場所に行かないと。
歩き始めながら、『よし、頑張ろっ!!』と気合いを入れ直した。