お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
手にしたカードにもう一度視線を落とした。
そこに書かれていたお題は──────
《 好 き な 人 》
その文字を見たときに、咄嗟に頭の中に浮かんだのはもちろんたった一人だった。
そんな今の私には、迷う必要なんてないはず、だけど。
「………っ、ど、どうしよ」
競技なんだから、あんまり立ち止まってもいられない。
だからって………
だからって、みっくんのところに走って行けっていうの……っ!?
たしかに迷う必要はない。
私が向かうべきなのは、好きな人────つまり、もちろん、みっくんのところなわけで。
でも、それってつまりは、公開告白ってことだよね!?
みっくんの元へ走る自分を一瞬想像した。
たぶん、みっくんの元へ向かうことくらいなら私にだってできるんだ。
だけど、問題は……
みっくんが私を思いっきり嫌っている、ということ。