お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
しばらく呆然としていたけれど、
〈な、なんと8組の花岡さんが1位でゴールです!!〉
驚いたアナウンスの声でじわじわと実感が湧いてきて。
はぁはぁ、と走った反動で乱れた息を整えながら、
頭のなかに次々と湧いてくる気持ちや疑問を整理した。
えっと……たしか、私はみっくんのところへ行くかを迷っていたはずで。
だけど、なぜか翔太くんが走ってきて。
…どうして私、翔太くんと走っていたの?
……ていうか、1位でゴール…!?
「あ……」
ふと、翔太くんに繋がれた右手がそのままだったことに気づいた。
あつい体温と、翔太くんの手のドクドクとした脈拍が繋いだ手に流れ込んでくる。
そんな私の様子に気づいたのか、翔太くんはハッとして、
「あ、ごめん!手繋いだままだった!」
パッと手が離れた。
申し訳なさそうな顔をする翔太くん。
別に、手を繋いだくらいで、なんとも思わないのになぁ。