お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
「それに、生まれてはじめてゴールテープ切れて、それがすっごく嬉しかった!!」
今でも夢みたいだ。
万年最下位争いの私が、いちばんにゴールできるなんてね。
「翔太くんのおかげだよ!ありがとうっ」
そう言って翔太くんの顔を見上げると、さっきまでの暗い顔はどこへやら、翔太くんの顔はうっすらと赤く染まっていた。
「……なら、よかった」
「うんっ!」
ふ、と笑みを零した翔太くんに大きく縦に首を振る。
そして、少しの沈黙のあと、
「ひまりちゃん、ほんとうに “好きな人” いないの?」
唐突に投げかけられた翔太くんからの質問に、ぎくりと背筋が固まった。
「い、いないよ……?どうしてそんなこと…」
いない、なんて嘘をついて。
後ろめたい気持ちを隠しながら翔太くんの言葉を待った。
「ううん、たぶん、迷惑かけるから」
「………迷惑?」
ピンとこない私が首を傾げると。