お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

そんなキラキラした香音ちゃんが、さらに目を輝かせながら私に向かってたずねた。



「ね!ひまりちゃん!浅野くんのことが好きってほんとなの!?」



ひっ………


香音ちゃんまで、みんなと同じ質問!?




慌てて首を横に振った。




「ううん!あれは、そういうわけじゃなくて……。私がほんとに好きなのは、」




ハッとして口を噤んだ。

今、ものすごい勢いで口を滑らせるところだった。



だけど、鋭い香音ちゃんは……



「ほんとに好きなのは?」




疑るような視線を私に向けながら、首を傾げる。



───そして、このタイミングで思い出してしまった。




「ううん、なんでもない………好きな人なんて、まだよくわかんないよ」





香音ちゃんも、みっくんが好きだったってこと。



香音ちゃんは、私とは違って、みっくんの “彼女” だっていうこと。



そして、ずっと前に香音ちゃんとみっくんのことを “応援する” って約束したこと────。





そんな香音ちゃんに、 “私もみっくんが好きです” なんて言えなかった。



口から流れるように零れた嘘に、罪悪感で胸がキリキリと痛む。




「じゃあ……これは本当?」



香音ちゃんが首を可愛らしく傾げた。


“これ” が何なのかわからなくて戸惑った私に、香音ちゃんが付け足す。




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