お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
「ひまりちゃんと光希が、“幼なじみ” って」
ドクンと心臓が嫌な音を立てた。
少し口が乾いた気がしたけど、それでも疑問ん口にせずにはいられなかった。
「どうしてそれを………」
「ごめんね?この前、ひまりちゃんと浅野くんの会話、聞こえちゃって」
聞いちゃマズかったよね、と申し訳なさそうな表情の香音ちゃん。
じわり、とまた、罪悪感が押し寄せてきた。
「あの、こちらこそ、黙っててごめん!みっくんと幼なじみっていうのは間違ってなくて……」
私、この続きをなんて言おうとしていたのかな。
“でも、香音ちゃんが心配するようなことはないから” って………?
自分自身に戸惑って、黙り込んだ私に香音ちゃんがふわりと微笑んだ。
「大丈夫だよ、私、口は堅いから!!」
「え……」
「これ、秘密のはなしなんでしょ?」
「あ……うん、ありがとう」
私がぎこちなくお礼を言うと、香音ちゃんはひらひらと手を振って。
「うん、じゃあ、それだけっ!今日は頑張ろうねっ」
慌ただしく、くるりと背を向けてどこかへ走り出した。
私は、その様子を呆然と見つめていることしかできなくて。