お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*
*

午前中の競技は何事もなく終わり、

お昼休憩を挟んで午後の競技も着々と進んで。




ついさっき、私が今日いちばんに懸念していた女子クラス対抗4×100mリレーが終わった。




その結果はというと──────、





「わぁっ!?」





足元に集中していたからか、前から歩いてくる人影に気づかなくて、

いきなり誰かに肩をぐいっと掴まれてよろめいた。





「……ちゃんと前向いて歩けよ」


「え……」




ぼそりと呟くような声に、バッと顔をあげると。




「みっくん!?」


「うん」




びっくりした………。


それに、なんだかおかしい。

みっくんが、私と向き合って話してるなんて……。



しかも、みっくんの方から呼び止めてくれた。




それだけで、嬉しくて、嬉しすぎて、舞い上がりそうになる。





「えっと、どうしたの?」




どきどきする胸を隠しながら戸惑いがちに、呼び止められた理由をたずねた。




すると、




「…まぁ、おまえにしてはよく頑張ったんじゃねーの」



「ほぇ?」





話題が突然過ぎて、思わず首を傾げた。





「リレーだよ。一応見てた」





あ………。


そう、リレー。



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