お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

それに気づいた翔太くんが、少しスピードを上げるけれど、みっくんも負けじと食らいついていく。




「いいぞ光希ー!!」


「浅野負けるな────っ!!」




両クラスの応援も、白熱してきた。




「これ、めっちゃいい勝負じゃん!?」


「どっちもカッコよすぎるんだけど!」




関係のないクラスの女の子たちも、きゃあきゃあと声をあげ始める。





みっくんがスピードをぐいっと上げて、翔太くんを僅かに抜いた。



だけど、翔太くんも粘り強い。



そんなみっくんに臆することなく、ペースを上げて抜き返した。





「浅野──────!!負けたらしばくからね────っ!」





夏奈ちゃんが、堪えきれないと言ったふうに声を上げた。



そんな夏奈ちゃんの声援に応えるように、翔太くんはまた少しペースを上げて、みっくんを引き離す。





ゴールまで、あと10メートルほど。



このまま逃げ切れば、翔太くんが勝って─────




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