お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
いつか、
いつかみっくんに伝えたい。
秘めた想いを全部。
みっくんに恋に落ちたんだよって。
でもそれは今じゃなくて──────
みっくんがちゃんと私の言葉を受け入れてくれるようになって、それで自分に自信が持ててからがいい。
「そ、」
やっぱり素っ気ないみっくんの相槌。
だけど、私は思わず、ふふっ、と吹き出しそうになった。
だってみっくんの右手の指先が、彼の耳たぶに触れたから。
照れてるだけなんだって、わかっちゃった。
そんな私を見下ろして、みっくんは口を開く。
「俺は相変わらず、おまえなんて嫌いだけどな」
相も変わらず、苦い苦いみっくん。
そんなみっくんには、甘さ強めで勝負に出たほうがいいのかもしれない。
私はにこっと口角を上げながら、みっくんを見上げて。
「ぜったい、みっくんにも好きって言わせてみせるもんねっ!!」
強気に出てみた。
自信なんてまるでない、けれど─────
「ははっ、どっから出てくんだよその自信」
みっくんが笑ってくれるなら、それでいいかなって。
否定しないってことは、頑張ってみてもいいってことだよね。
「じゃあまず、今日一緒に帰りませんか!!」
「断固拒否」
しゅん、と肩を落とした私を見てみっくんがまた笑う。
笑ってくれるのは純粋に嬉しいって思っちゃうんだから、フクザツだなぁ、なんて思ったけれど、
「じ、冗談だもん!ばいばいまたねっ」と言って名残惜しい気持ちを抑えながら、みっくんに背を向けて昇降口に向かった。
その間、今日一日を振り返りながら、
なんだか今日は、いっぱいみっくんと話せたなぁ、なんてことを思って、
幸せな気持ちに浸る。
そんなこんなで、波乱の体育祭は完全に幕を下ろした。