お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
たしかに、そうかもしれない。
………まぁ、だけど、大丈夫だろ。
自分で自覚していないほどの苛立ちなんか、ないにも等しい。
考え込むほどのものでもないと思う。
はぁ、と一息ついて、いつの間にか進んでいた教科書のページを捲った。
「………、」
とりあえず、授業に集中しようと決めて。
*
四時限目の終わりを告げるチャイム。
同時に、昼休みの始まりをも告げるそれを合図に教室がざわざわと賑わい始める。
「おい、」
そんな中俺は、机に伏せて寝ている利樹に声をかけた。
つぅか、授業中からずっと寝てるし、いいかげん起きろよ。
言ったところで、こいつは何も変わらねーだろうし、口には出さないけどさ。
「んぁー?光希?おはよー………」
寝ぼけたような声で、目を擦っている利樹を一瞥して、俺は簡潔に用件だけ伝える。
「今日、俺も食堂行くから」
「えっ!光希も食堂!?めっずらし〜」