お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
「やー、砂糖菓子に似てるって……新ジャンル発見だ」
「新ジャンル……?」
「ほら、なんていうの?肉食系とか、草食系とか、犬系、猫系とか言ったりするじゃん。……ひまりは、じゃあ………お砂糖系?」
………。
喜んでいいのかな、どういう気持ちで受け止めればいいのかな。
「あ、ありがと………?」
「疑問形だし(笑)」
首をかしげながらお礼を言うと、
案の定、夏奈ちゃんはくすっと笑った。
そして。
「じゃあ、ひまりがお砂糖系なら、棚橋くんは……」
みっくん……?
みっくんはね、
「ブラックコーヒー」
「え?」
口を挟んだ私に、夏奈ちゃんが聞き返した。
「みっくんは、ブラックコーヒーだよ」
「それまた、なんで?」
「今のみっくんは苦いもん。優しくないし、笑わないし………取り合ってくれないところが、私が飲めないブラックコーヒーにそっくり」
ブラックコーヒーを淹れたカップの底は、黒くて何も見えない。
同じように、みっくんの心の底だって見えないし、わからない。
……そんなところもそっくりで。