お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*
*

その日の放課後。

また俺は、人を待っていた。



今度は屋上。
吹き抜ける風が少し肌寒くて、季節の移り変わりを感じる。



ぼーっとしていた俺は、



「……みっくんっ」

「え、」



耳元で呼ばれて、思わず心臓がどきりと跳ねた。




だって、そんな風に俺を呼ぶのは─────


でも、この声は。





慌てて振り返ると、



「……藤宮?」



困惑ぎみに俺が声をかけたのは、ひまりじゃなくて。


自分で呼び出しておいて、期待はずれだと言ってしまっては失礼なんだろうけれど。




「ごめん、イジワルしちゃった」




悪びれずに笑った藤宮に、ただただ戸惑うことしかできなくて。




「なんで……」


「光希とひまりちゃんって、幼なじみなんだよね」




突然言われて、俺は目を見開く。


どこでそれを…………。




「浅野くんとひまりちゃんの会話……聞いちゃって。それで、ひまりちゃんにも直接聞いたんだ」




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