お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*
*

文化祭まであと五日。

校内もどんどんお祭りモードに染まってきた。



放課後、教室では劇の練習が行われる中、俺を含め大道具担当は、廊下でセットの作成に取り掛かっていた。




「ちょっ、光希、ダンボール足んねーんだけど!」


「なー、俺ら今手ぇ放せねーから取ってきて来んね?」




呼びかけられて、作業の様子を一瞥した。

確かに、手放すわけにはいかなさそうで。




はぁ、とため息をついて腰を上げた。




「わかった、行ってくる」



俺がそう言うと、



「サンキュ!」

「まじ助かる〜」



素直にお礼の言葉が返ってきて。

たまには悪くないか、と思いながら、ダンボールなどが収納された倉庫へと向かった。





*




しばらくして着いた倉庫の中には、
先客がいて。



高い位置にあるダンボールを背伸びをして取ろうとしているんだけど、届きそうもない。




………チビのくせに。




心の中で毒づいて、そいつに後ろから声をかけた。




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