お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


「何してんの?」



俺の声に、びく、としてこっちを振り向いて。



「えっ、みっくん!?」



ひまりは驚いた様子でぱちぱちと瞬きをしている。


そう、その先客とは、ひまりのことで。




ひまりは、困ったように眉を下げて口を開いた。




「えっと……クラスの子たちにダンボール頼まれたんだけどね、一番上まで届かなくって……」




えへへ、と照れ笑いするひまり。


どうせ、そんなことだろうと思った。




「ほんと、ちっせーよな昔から」



思ったままに口にすると、ひまりはムッと頬を膨らませて。



別にばかにしてるわけじゃないのに。




小柄なところも、そうやって頬を膨らませる仕草も、可愛いく見えてる………なんて言えるはずもないけれど。




「で、どれ?」



そんな自分の甘ったるい感情を追い払うように、ひまりに首を傾げた。




「え?」


「だから、取ってやるっつってんの」





ダンボールを指差しながらそう言うと、ひまりは嬉しそうに顔を綻ばせた。




「……えぇっとね、あのオレンジのと、その下の大きいスイカの絵が描いてあるのがいいな」




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