お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


きっと今、ドギマギしているのは俺だけで。
きっとひまりは、なにも思ってもない。


惚れた俺の方の負けだ。




「メイドカフェ、だっけ?」

「え……」



言葉にしないでも、見つめた瞳から全部伝わればいいのに。


それで、同じ気持ちになってくれればいいのに、なんて思いながらひまりに言葉を投げかける。




「おまえのクラス、」

「あ………うん、そうだよ?」




不思議そうにしながら、ひまりが頷く。





「すんの?メイドのカッコ、おまえも」


「えっ、や、まぁ……。女の子はみんなするから……」




ふぅん、と頷いて。


それなら、と口を開く。





惚れた方の負けだ。

だから、俺の負け。



だけど、ここらで勝負をしかけよう。

ほら、



─────負けるが勝ち、って言うじゃん?





「俺、おまえのクラス行くから」


「えっ!?なんで!? 」




驚き戸惑うひまりに宣戦布告を。





「逃げんなよ」


「え、やだ、恥ずかしいから見せたくないのに………!!」




身を引こうとするひまりを、捕まえて。





「絶対、逃げんなよ」





勝負は、ここからだ。





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