お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

「じゃあ、チャンスじゃんっ」

「チャンス……?」

「棚橋くんと喋るチャンス!」


みっくんと、喋るチャンス……。

そっかぁ…そんなことまで考えていなかったけど、そうだよね。

せっかく一緒に行動できるんだもん。
この機会を逃すわけにはいかない。


心の中で意気込んでいると、


「ねー、ひまり、明日ってヒマ?」

夏奈ちゃんが、なんの前フリもなく突然尋ねてきた。

「明日……?」


明日は、土曜日。
私はもちろん、予定なんかなくて。


「ヒマだけど……どうして?」

「臨海の持ち物、買いに行きたいんだよねー。できれば一緒に行きたいなって」

「いいの?! 一緒に行っても!」


私の食いつきっぷりに、
夏奈ちゃんが、ぷはっと吹き出した。

だって、嬉しいんだもん。
何気に夏奈ちゃんとお出かけするのは初めてだし。


「じゃあ、そのときに作戦会議しよ!」

「さく、せん、かいぎ?」


私がきょとん、とすると。


「もー、なんでひまりがきょとんとしてるの?! だーかーらー、棚橋くんと前みたいに喋りたいんじゃないの?」

「うん……?」

「そのための作戦会議! 棚橋くんは、ひまりの話だと、かなり手強そうだし」


たしかに、みっくんは手強い。

そっかぁ、みっくんと前みたいに戻るための作戦…。
手強いみっくんに勝つには作戦会議も必要なのかも。


「ありがとう…!」


夏奈ちゃんは、ぐっと親指を立てて返してくれた。

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