お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*
*

「おはよっ、ひまり!」

「おはよう、夏奈ちゃん……ごめん、待った?」


翌日、約束の土曜日。

ショッピングモールの中で待ち合わせしてたんだけど、私が着いたときには、もう夏奈ちゃんは待っていて。


「ううん、私も今来たとこ!……ってか、ひまり、私の予想通りのファッションだ」


夏奈ちゃんのその言葉に、
私は腕でバッと自分の服を隠した。


「なんで隠しちゃうかな〜? 予想通り可愛いって意味なのに」

「か、夏奈ちゃんのほうがオシャレだもんっ」


夏奈ちゃんとこうやって休日に会うのは初めてで、私服姿も初めて見たんだけれど……ほんとうにオシャレ。


白のスキニーに、レモン色の爽やかなサマーニット、足元は涼しげなサンダル。


長身かつスタイルの良さを活かしたファッションで。夏奈ちゃんの、活発なショートカットにぴったりで夏っぽい。


対する私は、夏奈ちゃんを待たせてしまうくらい悩んで選んだのに、自慢できるほどのファッションではない。




「私とひまりじゃ、タイプが違うからね。ひまりっぽくて良いよ?今日の服!あと髪もかわいーし」


ピン、と夏奈ちゃんが指差したのは私の頭。


そう、私はマリン風のシェル柄パステルブルーのワンピースに合わせて、髪を編み込みハーフアップにしてパステルブルーのリボンのバレッタで留めてみた。

………そのおかげで、かなり時間がかかってしまったんだけど。

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