お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

そう思うと悔しくて、きゅっと唇を結んだ。


何も言わない私に、みっくんは質問を重ねる。




「最近俺に好きって言わないけど、俺のことなんてどうでもよくなった?」


「っ、ちが……!!」




どうでもよくなった、なんてそんなわけ。


本当はその真逆なのに。




「じゃあ好き?」


「………好き、だよ………」





きっと、みっくんは今までと同じ “好き” だと思ってると思う。


だけど、全然違うんだ。



好きで好きでたまらなくて、みっくんを独り占めしたくて、ずっと隣にいたくて。




そんな独りよがりな願いをぜんぶ閉じ込めた “好き” なんだよ、今のは。



今まで告げてきた “好き” の何倍も、何百倍も重くて、だから軽々しく言えるものじゃなくて。



だから言えないだけなの。





「………あっそ、」





素っ気ない返事は、さっきまでより数倍優しい気がした。



耳たぶに持っていった指先は、きっと照れ隠し。





………照れてくれるんだ。

その仕草に、胸きゅんが止まらない。








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