お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
不安になって目を逸らそうとした瞬間、
ダンッ
と派手な音を立てて、みっくんが黒板に片手をついた。
私の顔のすぐ横に。
「ひゃっ…!?」
思わず声を上げると、みっくんが苦しげに瞳を揺らしながら、私を見つめる。
………これはまさか、少女マンガとかでよくある壁ドン……的な?
しかもその相手はみっくん。
まあ、問題は少女マンガのシーンみたいに、甘いシーンではないということなんだけど。
近すぎるみっくんの香りにくらくらする。
みっくんへの気持ちが膨れ上がって、息が詰まる。
「………おまえは、」
そんな私とは正反対に、みっくんは怒りに染まっていて。
いや、怒りというよりは……苛立ち、なのかな。
私のせい、だと思う。
だって、今ここにいるのは私だけで。
だけど、なにが引き金だったのかなんて、わからない。
みっくんは悩ましげに口を開いて。
低い声で苛立ちまじりに呟いた。
「おまえは、俺だけ見てればいいのに」
「へ、」
もう、くらくらして、なにも考えられない。
みっくんの言葉も、耳に入っては蕩けだして、結局真意は掴めない。
「なあ、頼むから」
苛立った声は、懇願するように、私に告げる。