お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

不安になって目を逸らそうとした瞬間、


ダンッ



と派手な音を立てて、みっくんが黒板に片手をついた。


私の顔のすぐ横に。




「ひゃっ…!?」




思わず声を上げると、みっくんが苦しげに瞳を揺らしながら、私を見つめる。




………これはまさか、少女マンガとかでよくある壁ドン……的な?


しかもその相手はみっくん。




まあ、問題は少女マンガのシーンみたいに、甘いシーンではないということなんだけど。




近すぎるみっくんの香りにくらくらする。

みっくんへの気持ちが膨れ上がって、息が詰まる。





「………おまえは、」




そんな私とは正反対に、みっくんは怒りに染まっていて。



いや、怒りというよりは……苛立ち、なのかな。




私のせい、だと思う。
だって、今ここにいるのは私だけで。


だけど、なにが引き金だったのかなんて、わからない。





みっくんは悩ましげに口を開いて。


低い声で苛立ちまじりに呟いた。





「おまえは、俺だけ見てればいいのに」


「へ、」




もう、くらくらして、なにも考えられない。


みっくんの言葉も、耳に入っては蕩けだして、結局真意は掴めない。





「なあ、頼むから」




苛立った声は、懇願するように、私に告げる。




< 282 / 387 >

この作品をシェア

pagetop