お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

「っごめん………俺戻る」



短く告げて、そのまま空き教室を立ち去って行ってしまった。



みっくんの背中が消えて、やっと解放された私は、力が抜けて、へたりとしゃがみ込んだ。





「………みっくんはずるいよ、」





聞きたいことだけ聞いて、
呆気なく行ってしまう。



いつだって、私ばっかりみっくんに振り回されている。




………今のはなんだったの。




ここに連れてきたのはみっくんなのに。



結局置いていかれちゃった。






それでも、文化祭の間に少しでもふたりきりでいられたのが嬉しくて、しあわせで。





────── もう重症だなあ、なんて。





いつか、みっくんにちゃんと伝えられますように。




だれよりも大好きなんだってこと。




*




しばらく経ってから、ようやく教室を出て、みんなの元へ帰って。



昼からもクラスの仕事をしたり、夏奈ちゃんといろんな模擬店や展示を回ったりして。





────苦くて甘い、燻った気持ちを抱えながら、文化祭という一日限りのお祭りは幕を閉じた。