お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
落ち込んだ気持ちを誤魔化すように、夏奈ちゃんの方を向いてたずねた。
「夏奈ちゃんは?どうだった?」
「えへへーっ、ひまりには申し訳ないけどギリギリ回避だよっ!」
そう言って、じゃじゃーん!と広げた解答用紙には 49 と。
「夏奈ちゃん、ずるい……っ!!」
思わず抗議すると、
「珍しいこともあるんだね〜、英語でひまりに勝ったことなんてなかったのに!」
夏奈ちゃんも驚いた様子で。
そう、夏奈ちゃんは根っからの理系らしく。
得意教科は数学で、数学や化学なんかは学年でも上位なんだけど……一方で英語はてんでダメらしい。
このまえの中間考査では、補習に引っかかっていたっけ……。
私は可もなく不可もなくって感じだから、英語に関しては、いつも夏奈ちゃんより点数は高かったんだけど……。
そんな夏奈ちゃんは、あ、と小さく声をあげた。
「?」
不思議に思った私が首を傾げると、夏奈ちゃんはにや、と口角をあげて。
「まさか、棚橋くんとなにかあった?それで、勉強が手につかなかった〜、とか?」