お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
「おまえのこと見てると、俺はおかしくなる。それは、おまえのことが嫌いだからなんだって、ずっと、そう思い込んでた」
私だって、ずっとみっくんに嫌われてるんだと思ってたよ。
ねぇ、いったいどういうこと……。
「でも最近気づいた。勘違いしてたってことに。俺はおまえのこと嫌いなんかじゃなくて、むしろ──────いや、なんでもない」
みっくんは言いかけた言葉を掻き消すように首を振って、言葉を選び直す。
「俺、おまえのこと、全然嫌いなんかじゃないよ」
「っ!」
「……今までごめん。傷つけてたの、わかってた。何度も傷つくようなこと、言ったし、したよな」
私はまた首を横に振る。
傷ついてなんてないよ。
………や、傷ついてない、っていうと嘘になるかもしれないけれど。
でも、みっくんが思うよりきっと、私はずっと大丈夫だよ。
だって、相手がみっくんだから。
大好きなみっくんのことなら、多少のことなんて気にもならないんだ。
そんな私を見て、みっくんは優しく目を細めて、柔らかい笑みを浮かべた。
甘くて甘くて、溶かされちゃいそうな笑顔。
「ほんとはずっと、昔から。おまえのこと、大切に思ってる」
「っ……!」
「大事だって、思ってるよ」
嫌われているって、ずっと思っていた。
だから、本当に今訳がわからなくて。
頭が混乱しそうで。
大切って、大事って………。
みっくんはさらっと言ってのけるけれど、私はそんなことはできない。
さっきから脳内でこだまして、離れてくれないんだから。
そんな私などお構いなし。
みっくんは私を見据えて、切なげに微笑んだ。
「お願いがあるんだけど」
「………お願い?」
私が首を傾げると、みっくんはそっと口を開いて、掠れた声で続けた。
「今更だって、笑ってもいいよ。軽蔑したって、いいから」
「………うん、」
「もう一度、戻りたい」
「うん、」