お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


みっくんは、私の目を真っ直ぐに見つめて告げる。




「仲の良い幼なじみだった、俺たちに」


「っ………うん……っ」






答えた瞬間、涙がこぼれた。



それは悲しい涙なんかじゃなくて、嬉しい涙で。





笑わないよ。軽蔑なんてしない。


だって、私がいちばん待っていたのに。





「もう、一生、このままかもしれないって、怖かった……っ」



涙と共に溢れ出てきたのは素直な気持ち。




「ごめん、」




謝らなくて、いいのに。


私は今すっごく嬉しい。




どうにかして、この気持ちを伝えたくて。





「あのね、私もみっくんのこと、大切だし大事に思ってるよ」


「っ………くそ、」




そっと、呟けば、みっくんは耳まで真っ赤にして悔しそうに私を睨む。



もしかして……、照れてる、のかな?





私が優勢だったのも束の間。



みっくんが右手を、ん、と差し出した。





「?」



首を傾げた私に、みっくんが照れくさそうに言う。



「………仲直りの握手」


「っ!!」



嬉しくなって、私は泣き笑いの満面の笑みでみっくんの手を握った。




みっくんは私の手を握ったまま、私の耳元に口を寄せて。







「…………ひまり、」






囁くように呼んだのは、



「い、今……!名前!!」





いつぶりかわからないくらい、
ほんとうに久しぶりの、私の名前。


もう呼んでくれないと思っていたから、嬉しくて、ドキドキして。



また涙が滲んできた。




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