お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


しばらく手を繋いだままだったけれど、みっくんの方から名残惜しそうに体温が離れた。



目が合うと、くしゃ、と笑ってくれて。



笑うと目尻がちょっと下がる、その表情がだいすきなんだ。

また近くで見れるなんて。




そうだ私、みっくんに言わなきゃいけないことがある。




「あのね、みっくん」


「ん?」



柔らかい返事が返ってきた。


安心した私は口を開く。




「私ね、はじめて恋をしたよ」


「は」



「本気で好きな人を見つけたの」


「っ……」





みっくんのことだけど、と心の中で付け足す。


そんなみっくんはというと、目を見開いたかと思うと、焦ったような表情になったり、ころころと表情を変えて、まるで百面相。




いつか、絶対にみっくんに好きって伝えるから。

自分の口で言ってみせるから。




だけど今はまだ、直接好きって言える勇気はないから、これで許してね。




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