お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
そんな私の言葉にフクザツな表情をしたみっくんは、再びするりと私の手を取った。
みっくんの指と私の指が絡まって。
─────いわゆる、恋人繋ぎとかいう状態。
一部分だけ重なった影に、心拍数は尋常じゃなくて。
もう、心臓が壊れそう。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、みっくんは口を開いた。
「そうやってドキドキして、何も考えられなくなって、俺だけ見てればいいよ」
もうずっと前からみっくんしか見えていないのに、彼はそんなことを言う。
「やっとスタートラインに立ったんだから、もう手加減しねーから」
「っ?」
「ひまりの好きには絶対させないし、」
「ほかの誰にも絶対に渡してやらない」
意味は全然わからないのに、
みっくんの意志がこもった瞳と声と。
茜色の夕日と、重なった影と、繋がった手から伝わる体温と。
ぜんぶにドキドキして。
「覚悟しとけよ、ひまり」
耳元で糖度たっぷりに囁かれた自分の名前に、くらくらして倒れそうになったのは私だけの秘密にしようと思う。