お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

そんな私をよそに、みっくんは強く言い放った。





「悪いけど、ひまりは昔から “俺の” だから」





みっくんが翔太くんをひと睨みする。


そして、翔太くんの答えを待たずに私の腕を引いてずんずんとどこかへ歩いていく。





待って……どこ行くの……っ?


どうしてみっくんがこんなところに……っ、それに、翔太くんのこと放ってきちゃったし……!




早足で歩くみっくんに、足がもつれそうになりながら着いていく。




それから暫く歩き続けて、人通りの少ない路地裏に入って、そこで、やっと解放された。




「っ、は、はぁ………」



息を荒らげる私を見下ろして、
みっくんは自分の髪をぐしゃ、と乱した。




「何やってんの、おまえ……」


「へ……」




みっくんの、聞いたこともないような切ない声に、驚いて顔を上げる。




「だから、浅野には気をつけろって言ったのに、」



「えっと……」



いきなりの状況に、私の頭はまだついていけていない。



とりあえず、



「みっくんはどうしてここに……」



それが不思議で仕方なくて。




「……早坂から聞き出した」


「えっ?夏奈ちゃん!?」




思わず声をあげる。

いつの間に………。
< 339 / 387 >

この作品をシェア

pagetop