お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
「今日は大人しくしようと思っていたけど」
はぁ、とみっくんがため息をつく。
「家にいてもおまえのことが頭から離れなくて」
「え……」
「居てもたってもいられなくなって、家飛び出してきた」
な、何言ってるの、みっくん………
私、耳がおかしくなったのかな。
いつものみっくんからは想像もつかない、甘すぎる言葉の数々にくらくらする。
「ひまりには悪いけど」
だめだ、身体中が沸騰しそうに熱いし、
「俺、ひまりのこと誰にも渡す気ねーから」
ぼーっとするし、
聞こえてくるみっくんの声は際限なく甘いし。
これ……夢なのかな。
「おい、ひまり……?どうした?」
私を覗き込むみっくんの心配そうな顔。
やっぱり私、好きだよ。
……みっくんのことが大好き。
ぼんやりする頭でそんなことを考える。
それから、訪れたのはふわふわして身体が浮くような感覚。
やっぱり、これは、夢……なんだよね。
だって、みっくんの姿がぼやけて、白んでいく。
最後にぐらりと足元が揺れて、
「ひまりっ!!」
切羽詰まったようなみっくんの声と、
それから誰かに抱きとめられた感触と共に、
私の意識は完全に途絶えた。