お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


『あっ、あああの!25日はダメだけど、他の日ならいつでも大丈夫だよっ』



そんな俺の様子に焦ったひまりが、代替案を提示するけれど。



俺が言いたいのはそういうことじゃない。




別に、俺の約束なんか正直いつでもいい。

会う約束ができればそれでいいと思ってる。



それより、




『……他の男とふたりとか冗談じゃねー……、この鈍感バカ』




他の男と、しかもひまりを狙ってる浅野と、ふたりきりで出かけることに文句を言いたいんだよ。



ひまりは鈍感だから、全っ然気づいてねーけど。




ふとひまりの顔を見れば、困ったような顔をしていた。



……違う、そんな顔をさせたいんじゃない。



いつでも笑顔でいてほしいのに。


いつも俺の勝手な苛立ちのせいで、ひまりを困らせてしまう。




そんな自分に嫌気が差して………




『………ごめん、頭冷やす』



いったん家にでも帰って、気持ちを落ち着けようと思った。


このままここにいても、ひまりを傷つけるだけだと思ったから。



くるりと背中を向けようとすると、俺より遥かに小さなひまりの手がはしっと俺の腕を掴んだ。




『っ、みっくんっ!』



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