お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*


『あれ、棚橋くん?』

『早坂?』



終業式の翌日、冬休みの初日。



学校から出された課題に手をつけていた俺は、無性にポテチが食べたくなって。



家の近くのコンビニに行けば、そこには偶然早坂がいた。




『こんなところで会うなんて珍しいね、何買いに来たの?』


『ポテチ食いたくなって、』



『わかるよ〜、そういうときってあるよね!私はアイス食べたくなっちゃったんだけどね、』



そう言って、ソーダ味のアイスキャンディーのパッケージを俺に見せる。



早坂はなんていうか……サバサバしていて喋りやすい。



ひまりが高校で最初にできた友達が早坂でよかったと心底思う。



逆に、ひまりに早坂がいたからこそ、俺はなかなか自分の想いに気づけなかったのかもしれないけれど。


だって、たぶん、ひまりに頼れるヤツが俺しかいなければ、どうしたって俺は突き放すことなんかできなかっただろうし。



『じゃあ、またね!』



たわいない会話を終えて早坂がコンビニを出ようとした。




『……っ、早坂待って、』




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