お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


だけど、俺は咄嗟に早坂を呼び止める。

そんな俺に、早坂は驚いたように振り返った。



無理もない。
だって、早坂とこうやって話す機会なんて今までなかったから。




『あのさ、聞きたいことがあるんだけど』


『え、どしたの?』




首を傾げた早坂は、あ、と思い当たったように口をつぐんだ。



ひまり関係の話だと勘づいたんだろう。




………もちろん、その通りなんだけど。





『ひまりから何か聞いた?────25日、浅野とどっか行く、とか』



『ふはっ、』




俺の真剣な様子に堪えきれなくなったのか、早坂が吹き出して笑う。



自分でも、こんなこと聞くなんて……情けないとは思うけれど、



でも、聞かずにはいられない。



気になって、しょうがなくて。





そしてひとしきり笑った後、早坂は俺にひまりから聞いたことを洗いざらい教えてくれた。



早坂は全部聞いていたらしく、
行き先も、待ち合わせ場所も、懇切丁寧に教えてくれて。




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