お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

考えないようにすればするほど、頭の中をひまりが占めていく。


気を紛らわそうと、テレビを見たりマンガに手を伸ばしても全くの無駄で。




………我慢の限界が訪れるのは、想像以上に早かった。




ひまりが浅野と一緒にいるところを想像してしまったが最後、大人しく待っているなんて俺には最初から無理だった。




家を飛び出して、駅の方まで走った。





そして、目に入ったのが、浅野がひまりを抱きしめている光景で。



考えるよりも先に身体が動いて、ひまりを浅野から引き離していた。





もうほんとむり、勘弁して。



好きな女を探しに来て、他の男に抱きしめられてるのを見せつけられる俺の身にもなってほしい。




『悪いけど、ひまりは昔から “俺の” だから』




頭に血が上るって、こういうことなんだ、と思ったくらい。



そして無理やりひまりを人通りの少ない路地まで引っ張ってきて。




そして、ひまりが熱でぶっ倒れて─────、今のこの状態。



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