お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
「んん………」
ベッドから聞こえてくる、ひまりの身じろぐ声。
正直耳を塞ぎたい。
………だって、こんなの拷問だろ。
自分の部屋で、しかもベッドの上で、幼なじみではあるけれど、仮にも好きな女が寝てるとか………。
ごくりと、喉を鳴らす。
気を抜くと、今に襲ってしまいそうで。
必死で自分の中の誘惑と闘っている。
だけど、ひまりは今熱を出していて。
様子を見ないで放っておくわけにもいかない。
俺は、はぁ…、と息をついて。
気持ちを落ちつけてから、ひまりが眠るベッドに近づいた。
手のひらをひまりの額に当てる。
「あっつ………」
触れただけでわかるほどの高熱で、
相当しんどいんだろうな、と思った。
それと同時にモヤモヤとする。
────体調悪いくせに、無理して浅野に会いに行ったわけ?
寒いくせにスカートなんかひらひらさせて、オシャレして。
全部浅野のため……?