お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
あぁ、もう、本当にひまりは俺を苛立たせる天才だ。
複雑な気持ちを抱えながら、ギシッとベッドを軋ませて、ひまりの顔を覗き込んだ。
白くて柔らかそうな肌、
散らばるさらさらの黒髪、
長い睫毛に、
熱のせいか赤く火照った頬と唇。
誰にも渡したくなくて、ひとつ残らず俺のものにしてしまいたい衝動に駆られる。
誰にも見せたくないし、触れさせたくない。
「は……」
荒くひとつ、息を吐いた。
いつのまに、こんなにひまりに落ちてたんだろう。
自分の独占欲の強さに、今更気づく。
本当は今すぐにでも、ひまりを “俺の” だと公言できる関係になりたくて。
………でも、まだ早い。
今まで散々『嫌い』だと言い放って、傷つけてきたから。
突き放して、冷たく当たって。
それなのに自覚した瞬間に手の平を返すなんて、さすがに自分勝手すぎる。