お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*
*


同じ帰り道。

繋がる手、伝わってくる同じ温度の体温。



どれをとっても幸せで、そして少しくすぐったい。




「……ねぇ、みっくん」




あのあと、いろんな想いが溢れだして涙が止まらなくなった私が泣き止むまで、みっくんは待ってくれて。



ようやく、落ち着いてきて家へと向かっているところ。



自然と差し出された手に自分の手を重ねれば、恋人繋ぎになって、思わずにやけてしまったのは私だけの秘密。




みっくんに呼びかけると、みっくんは優しくん?、と首をかしげた。





「こうしてると、昔に戻ったみたいだねっ!」




ほら、小学生のとき。


ふたりで手を繋いでよく帰ったよね。




歩くのが遅い私の歩幅に合わせて、みっくんもゆっくり歩いてくれたんだよね。



………懐かしいなあ。





懐かしい思い出に思いを馳せて、ふふ、と頬を緩めていると。





「………たしかに、そんな日もあったけど」




あれ?


みっくん、どこか不機嫌……?




その理由はすぐに明らかになった。





「俺は昔に戻ったつもりなんてないから」



「ほぇ?」





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