お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


「なんで……?」



たしかに、お隣さんだから、家の前で待ち合わせの方が便利ではあるけれど。



そんなにこだわる必要もないんじゃないかなぁ、と思い首を傾げた。





「…………心配なんだよ」


「へ?」



「 “馬子にも衣装” ……っていうだろ」




一瞬何のことか考えて、それから私服のことだということに気づいた。



“馬子にも衣装” なんて言われて、ガーンとしていると、みっくんが 少し息をついた。





「嘘だよ。………おまえの私服姿、俺がいないところで他の男に見せたくない、だけ」




おまえ無駄に男惹き付けるし、と。




気まずそうに言って頬をかくみっくんに、

胸がきゅーんと鳴る。






これって、もしかしなくても、ヤキモチだよね?




相変わらずみっくんは緩急が激しすぎる。




苦いと思った次の瞬間、信じられないほど甘くなったりするから、ドキドキさせられるのはいつも私の方だ。




「行くぞ」




照れた私に気づいたのか、慌ててみっくんは、誤魔化すように私の手を掴んで歩き始めた。




自然と繋がれた手に、いちいち嬉しいと思ってしまう。




歩幅を合わせてくれるみっくんに大好きを募らせながら、たわいない会話をしながらみっくんについて行った。




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