お前のこと、誰にも渡さないって決めた。
*
*


「こちら、ブルーベリーレアチーズタルトと、苺たっぷりショートケーキになります」




みっくんの前には、ブルーベリーレアチーズタルト、


私の目の前にはショートケーキが置かれる。





「わあ……っ!!」




私は思わず感嘆の声をあげた。


目の前に置かれた、ふわっふわのスポンジのショートケーキに心が踊らないわけがない。




いただきます、と手を合わせて
フォークを入れる。



そして、ぱくり、と一口。




「んん〜っ!おいしーい!幸せ!」




ショートケーキって王道だけど、不思議と絶対に飽きないよね。


生クリームの甘さが絶妙だし、いちごの甘酸っぱさとの組み合わせが最強!


目を輝かせる私を見て、みっくんがふは、と吹き出した。




「ひまりって本当美味そうに食うよな」


「だって美味しいんだもん……!」




もう一口味わってから、ふと重大なことを思い出した。




「あれ……みっくんって、甘いものニガテだったよね……?」



「……」



無言。

ということは、図星でまちがいないだろう。



昔からみっくんは、甘いものは好き好んで食べていなかった。

私が苦いものがニガテなように、みっくんは甘いものがニガテだということを私は知っている。




なのに……、



「なのに、どうしてここに連れて来てくれたの?」




ここは電車で二駅ほど行ったところにある、隣町のカフェ。



ネットで見つけて以来、ずっと行きたかったところなんだ。




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