お前のこと、誰にも渡さないって決めた。

今日の行き先はみっくんにお任せで、ここに来るまで知らなかった。


私は行きたかったところに来れてとっても嬉しいんだけど、その反面、みっくんはいいのかな……とか、思ってしまう。





心配する私に、みっくんは柔らかく微笑んだ。




「それでいいんだよ。だって今日は、ホワイトデーとひまりの誕生日祝いのつもりだから」



「えっ……!?」






ホワイトデーは3月14日。


ちなみに私の誕生日は、3月10日。




たしかに今日は、その両方の日からいちばん近い土曜日だ。





「そーいや、言ってなかったけど、バレンタインのチョコ美味かったよ」



「ほ、ほんとに?よかった……」





一ヶ月前のバレンタインデー。


毎年みっくんには手作りチョコを渡してはいたんだけど、今年は初めての本命チョコで…。



今までとは気合いの入りようが違った。





なにが難しいって、みっくんが甘いものがニガテだということ。



夏奈ちゃんにもアドバイスをもらいながら、

ビターチョコを使って、コーヒー風味のトリュフを作ったんだ。




渡したときに “ありがと” とは言ってもらえたんだけど、感想を聞く機会はなくて。



もしかして口に合わなかったかな……なんて不安だったんだ。





よかったぁ〜……と、胸をなで下ろしているとみっくんが私のことをじっと見つめてきた。



なんだろう、と思って身構えると。




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