お前のこと、誰にも渡さないって決めた。


「……んで、少し早いけど誕生日おめでとう、ひまり」


「っ……!ありがとう、」




思いがけないお祝いの言葉。




「俺たちは幼なじみだけど、」




みっくんが前置いて。


私は一言一句残らずに聞き取ろうと前のめりになる。





「幼なじみだから、ひまりのことを好きになったんじゃない。ひまりだから、好きになったし欲しいと思った。だけど……、」





みっくんは、耳たぶに手で触れる。


もちろん、照れ隠しなのは百も承知だ。





「ひまりが幼なじみでよかった。………16年前、お隣さんの家に、生まれてきてくれてありがとう」



「っ………!」





予想外の温かい言葉に、思わず泣きそうになってしまった。


私と幼なじみでよかった、なんて………そんなの私のセリフだよ。





みっくんと幼なじみでよかった。


出会えてよかった。


好きになってよかった。


みっくんと想いが通じ合った今、本当に幸せで──────。





「みっくん、だいすき………」





思ったことがそのまま声になって、少し恥ずかしくなったけれど、



私の言葉に真っ赤になったみっくんを見て、恥ずかしさなんて飛んで行った。




< 379 / 387 >

この作品をシェア

pagetop